少子化問題を「解決しすぎた」物語

@MAMAAAAU
日本語3 日前 · 2026年7月12日
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TL;DR

本作は、極端な遺伝子改変によって少子化危機を解決した未来を描くディストピア短編小説です。超強靭な種へと進化した人類が、やがて自然界を凌駕し、宇宙へと拡散していく様子を描き出します。

人工子宮が普及しまくってペットボトルでも赤ちゃんが育つようになってから十年が経過した。経過したんだよ。しかたないだろ。

「また胎児か」

うちの前のネコよけペットボトルにまた胎児が発生していた。三回目だ。人権があるのでボウフラみたいに捨てるわけにもいかない。 現在の日本の人口、5京人・・・。

最近の人類は人工子宮で育てやすいように遺伝子改造されている。

どういうことかというとプランクトンの期間があるのである。

たとえばホヤなどは、生まれた直後は泳ぐことができるがいい場所に自分を固定して移動能力を退化させることが知られているが、人間もそうなった。 なったんだからしょうがない。

人間の受精卵は、発生したあとしばらくたつとオタマジャクシ状になり、母体から出る。これはホヤの遺伝子を使った。

その時点で泳ぐことができるが、環境がよくないと足が生えて這いまわる。これはメキシコサラマンダー、俗にいうウーパールーパーの遺伝子を入れてみたらしい。入れてみたじゃねえよ。

そんなわけで人間の赤ちゃんはとにかくイモリ状になって這いまわって水場を探すのだが、これが見つからないと今度は乾燥して休眠シストを作る。

シストは割れて中から大量の種子状のクローンが出てくる。クローンは乾燥に耐えて綿毛で飛ぶ。これは何の遺伝子だ?

まあいいや。とにかく乾かすと増える。

そんなわけでとにかく、水場さえあればとりあえず赤ちゃんが育つようになった。少子化問題が解決したのはいいが解決しすぎだ。その辺に水をためといたらすぐ人工子宮と化す。ヒヤシンスの水栽培をしていたら中に三つ子ができていたなんてざらだ。人権があるのでヒヤシンスのほうをあきらめるしかない。

蚊はかつて「人類をもっとも悩ます生物」であったが、今では大半が絶滅危惧種になっている。なぜかというと蚊の幼体であるところのボウフラの生態系ニッチが赤ちゃんに奪われたからだ。同じ水の中にボウフラと赤ちゃんが育っているとボウフラが負けるのである。今では蚊の保護活動まである。

そんなこんなで、とにかく赤ちゃんが大量発生している。ダムに二万ほどの胎児が発生してダムが詰まるなどの社会問題も起こっている。このときはけっきょく赤ちゃんが水道に入らないようざるを設置したらしい。彼らは無事生まれ、約二万つ子となった。人口爆発というレベルではない。

しかし、そんな社会問題ももうすぐ終わる。なぜなら地球がもう限界だからだ。小惑星が地球に接近している。赤ちゃんだらけになったこの世界ではもう誰もそれを止められない。おそらく地球は崩壊するが、ごく一部の赤ちゃん胞子は宇宙にばらまかれるはずだ。もしかしたら水のある惑星に彼らが――

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