中国のクリエイターの現状:変化する環境についての考察

@sadycork
日本語3 か月前 · 2026年4月30日
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TL;DR

中国における AI 主導のアニメーションが、クリエイターの焦点を漫画の作画から小説ベースの生成へとどのようにシフトさせているかを考察します。AI 時代においては、クリエイティブなビジョンと実践的な試行錯誤こそが重要であると強調しています。

「日本では、まだマンガ家を目指している人はいますか?」

この前、中国のAIアニメの会社の人と打ち合わせをしていたとき、そんな質問をされて、一瞬ギョッとした。

中国ではいま、アニメ制作のAI生成技術が劇的に進化している。その影響で、膨大な数のショートアニメがTikTokやbilibiliに投稿され、大きな支持を集めている。そして、ショートアニメのクリエイターを目指す人の数が急拡大しているという。

彼らの話で印象的だったのは、AI生成における素材の違いだ。小説をAIに読み込ませると、かなり質の高いアニメが出来上がる。一方で、マンガを読み込ませて生成しようとすると、安定したものに仕上がらない。

その結果、何が起きているのか。ショートアニメのクリエイターを目指すなら、原作となる小説を書くか、それをアニメ化するAI技術を磨くか。少なくとも彼らの見ている世界では、マンガを描くことは、クリエイターを志す人にとって、選択肢にあがらなくなっている。

テクノロジーの進化によって、さまざまな職業が消えていくこと自体は、これまでも理解していた。だが、その中にマンガ家が含まれる可能性があるとは、正直これまで一度も考えたことがなかった。

もちろん、彼らの話がすべてではないだろう。中国は人口も多いし、彼らの見えないところでマンガ家を目指している人もいるはずだ。ただ、彼らがそう感じるくらいには、大きな変化がすでに起きているのだと思う。

マンガ家という職業が消える世界線。そんな未来もあり得るのかもしれないと、大きな衝撃を受けた。そして同時に、これからのAI時代におけるクリエイターのあり方について、改めて考えさせられた。

表現における技術は、これからAIがどんどん代用していく。しかも、その精度は加速度的に上がっていくだろう。ただ、それをどう使うのかというディレクションがなければ、人を感動させるものは生まれない。

やはり、AI時代において重要になるのは、クリエイティブの解像度の高さだ。

その人ならではの独自の世界観を持っているかどうか。

そして、それをどのような形で表現したいのか。

その解像度をどこまで研ぎ澄ませているかが、アウトプットの差を生む。テクノロジーの進化は、その差をさらに拡張していくのだと思う。

例えば、AR三兄弟の川田十夢さんは、AIを使って楽曲を制作し、さらにはミュージックビデオまでAIでつくり、継続的に発表している。そのクオリティは、もはや趣味の延長とは思えないレベルに達しているし、実際にしっかりとファンもついている。

おそらく多くのミュージシャンは、音楽について考える時、音だけが頭の中にあり、他のイメージはぼんやりしていたと思う。川田さんが特殊なのは、音とイメージが同時にかなりクリアな状態で思いつくというところだ。

昔から付き合いがあるが、川田さんの見ている世界はずっと面白かった。それが、テクノロジーの進化によって、これまで以上にダイレクトに、さまざまなフォーマットでアウトプットされるようになっている。

テクノロジーの進化によって、クリエイターの本質が、よりはっきりと可視化されるようになってきているのだと思う。

こうした変化には、純粋にワクワクする。一方で、そのスピードに自分はついていけるのかと、不安を覚える瞬間もある。

人は不安になると、未来を予測しようとする。正しい未来を当てにいき、「このルートなら大丈夫だ」と安心しようとする。そして、そこから逆算して動こうとする。

でも、それはかなり無理ゲーに近い。

テクノロジーの進化は直線的ではない。ある領域で起きた変化が、波紋のように別の領域へと広がっていく。だから、未来を予測しようとしても、その予測を軽々と上回る変化が起きてしまう。そうしたことが、この数年ずっと続いている。

では、どうすればいいのか。

最近、僕は、未来を予測しようとすること自体を、少しずつ手放している。

もともと僕は、未来の仮説を立てるのが好きだった。自分の仮説にワクワクして、それを原動力に動いてきた。だから放っておくと、「未来はこうなるんじゃないか」と、つい頭の中で構想してしまう。

でも、いまはそういう思考を意識的に手放すようにしている。

AIによって、クリエイターやコンテンツの未来がどうなるかを議論するよりも、まずは自分で触ってみる。最新のツールを使ってみて、何ができて、何ができないのかを体感する。

頭で考えるだけでは見えないことが、手を動かすことで見えてくる。その中で、少しずつ勘所が掴めてくる。

未来は、あらかじめ存在しているものを当てにいくものではない。試しながら、自分の中に立ち上がってくるものだと思う。その積み重ねだけが、この時代における、いちばん確かな戦い方なのだと感じている。

もっとAIを使い倒していきたい。そんな気持ちが、より高まってきている。

<noteのコラムを転載>

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