Gemini Notebook で「4 つの AI チャットボット」を導入し、社内問い合わせを 90% 削減した方法

@ai_jitan
日本語3 日前 · 2026年7月18日
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TL;DR

Gemini Notebook を使用して、日常的な社内問い合わせの 90% を処理する社内用チャットボットを作成するための包括的なガイドです。セットアップ手順、ペルソナに基づいたプロンプト、メンテナンスのヒントを網羅しています。

社内の情報をストックするだけで、チャットボットが完成する。——僕はこの事実に、1年経った今でも興奮しています。

かつて「社内チャットボット」といえば、ベンダーを選定して、数百万円の見積もりを取り、数か月かけて開発する大プロジェクトでした。それが今、Gemini Notebook(旧NotebookLM)に社内の規定やマニュアルを放り込むだけで、できてしまう。費用ゼロ、プログラミング不要、所要15分。冗談みたいですが、本当です。

僕の職場で最初に雇ったのは、総務ボット1人でした。すると、総務への電話が目に見えて減った。問い合わせ対応の残業に沈んでいた総務の方に、涙ぐみながら感謝された日のことは、今でも忘れられません。

手応えを確信した僕は、そこから経理、人事、情シスと窓口を増やしていきました。いま僕の職場では、4人のAIチャットボットがそれぞれの持ち場で質問に答え続けていて、社内の問い合わせは9割消えました。9割です。盛っていません、実測です。

だから僕は、この活用法を、日本中の全企業に導入してほしいと本気で思っています。 大企業も、中小企業も、たった数人のチームも。「あの人に聞かないと分からない」で誰かの時間が溶けている職場、ぜんぶです。

この記事は、そのための完全ガイドです。Gemini Notebookでチャットボットを作るメリットから、どんなボットを作るべきかの選び方、15分の作り方、ボットの性格を決めるカスタム指示プロンプト4本、Google Workspace版での共有設定、そして育て方と失敗パターンまで——初心者が今日から実現できるように、ぜんぶ書きます。

専門知識は、一切いりません。必要なのは、社内の資料と、この記事だけです。

第1章:なぜ「最高すぎる」のか——5つのメリット

まず、僕がなぜここまで興奮しているのか。従来のチャットボット開発と比べながら、5つのメリットで説明させてください。ここを読むと、社内で導入提案するときの説得材料にもなります。

メリット①:開発費ゼロ、プログラミング不要

従来の社内チャットボットは、「作る」ものでした。要件を定義して、ベンダーに見積もりを取って、FAQを1問1答の形式で何百件も登録して、ようやく稼働。費用は数十万〜数百万円、期間は数か月が相場です。

Gemini Notebookのチャットボットは、「作る」というより「置く」に近い。ノートブック(資料をまとめる箱のことです)に社内資料を入れて、少し設定して、共有する。それだけです。コードは1行も書きません。Googleアカウントがあれば無料で始められます。「うちにはIT予算も担当者もいない」——そういう会社にこそ、届いてほしい話です。

メリット②:社内資料「だけ」を根拠に、引用付きで答える

チャットボットで一番怖いのは、間違った案内です。ふつうのAIは、知らないことを聞かれると、それっぽい嘘(ハルシネーション)を答えてしまうことがある。社内の手続き案内でこれをやられたら、大事故です。

Gemini Notebookは、ここが根本的に違います。入れた資料だけを根拠に答え、資料にないことは答えられない設計なんです。しかも、すべての回答に引用元が付く。「この答え、本当かな?」と思ったら、ワンクリックで規定の原文に飛んで確認できる。回答を「信じる」必要がなく、「確かめられる」——社内窓口として、これ以上ない誠実さです。

メリット③:アップした資料は、AIの学習に使われない

「社内規定をAIに入れるなんて、情報が漏れるのでは?」——必ず出る心配なので、先に答えます。Gemini Notebookは、無料版であっても、アップロードした資料をAIの学習に使わないと明言されています。

あなたの会社の規定が、AIの頭の中に取り込まれて世界に漏れる、ということはありません。「無料版は危ないから有料版必須」という情報を見かけることがありますが、これは不正確です。

この事実は、社内で導入提案するときの最重要カードにもなります。上司や情シスから必ず飛んでくる「セキュリティは大丈夫なの?」への一次回答が、公式に用意されているということだからです。(それでも業務利用には社内確認と機密の扱いルールが必要です。第6章で必ず話します。)

メリット④:15分で、今日できる

導入プロジェクトの立ち上げも、稟議も、キックオフ会議もいりません。この記事の第3章の手順どおりに進めれば、今日の昼休みに試作版が動きます

この「先に動くものがある」状態は、社内政治的にも最強です。ふつうのシステム導入は「予算をください、作ります、たぶん便利です」という順番なので、承認のハードルが高い。Gemini Notebookなら順番を逆にできます。

まず自分のチーム用に小さく作り、動くデモを見せてから、「これを全社でやりませんか」と提案する。目の前で動いているものに、人はNOと言いにくい。 着手コストがほぼゼロだからこそ取れる、ずるくて正しい順番です。

メリット⑤:メンテナンスが「資料の差し替え」だけ——自動同期が最強

そして、僕が一番強調したいのが、これです。従来のチャットボットには、隠れた地獄がありました。メンテナンスです。 規定が変わるたびに、登録済みのFAQを1問ずつ探して、書き直す。この作業が重すぎて、更新が止まり、「古いことを答えるボット」になって、誰にも使われなくなる——チャットボットの死因第1位は、これです。

Gemini Notebookなら、この地獄が存在しません。ボットの知識は「入れた資料そのもの」なので、規定が変わったら、資料を差し替えるだけ。FAQの書き直しは一切不要です。

さらに、決定的な仕組みがあります。GoogleドキュメントやスプレッドシートをGoogleドライブからソースとして追加した場合、元のファイルを更新すると、Gemini Notebook側にも自動で同期されるんです。

アップし直しも、同期ボタンも不要。つまり、規定のドキュメントをいつもどおり改訂した瞬間、ボットは新ルールで答え始める。「メンテナンスする」という概念自体が、消えます。 規定・マニュアル類は、最初からGoogleドキュメントで管理してソースに繋いでおく——これが、この記事でいちばん覚えて帰ってほしい設計です。

第2章:どんなチャットボットを作るべきか——「効く場所」の見つけ方

メリットが分かったところで、次の問いは「で、何のボットを作る?」です。ここで選択を間違えると、せっかく作っても使われません。導入効果がいちばん大きい場所の見つけ方から話します。

選び方の3基準——3つ揃った場所が、作るべき場所です

作るべきボットの条件は、3つです。

①同じ質問が、繰り返されている。

月に1回しか来ない質問のボット化は、割に合いません。「経費精算のやり方」「有給の申請方法」のように、違う人から何度も来る質問が対象です。

②答えが、資料に書いてある。

ボットは資料を根拠に答えるので、そもそも文書化されている(またはすぐ文書化できる)質問であること。判断や交渉が必要な相談ごとは不向きです。

③答える担当者が、消耗している。

総務、経理、情シス——同じ説明を1日に何度もしている人がいる場所ほど、導入した瞬間の感謝が大きい。

この3つが重なる場所を、あなたの職場で思い浮かべてください。たぶん、特定の部署の、特定の誰かの顔が浮かんだはずです。その人の周りが、最初のボットを作るべき場所です。

おすすめの4種——迷ったら、ここから

具体的には、この4つが鉄板です。導入で書いたとおり、僕の職場で問い合わせを9割消したのも、この4人の布陣でした。

  • 総務の「規定ボット」(有給、慶弔、福利厚生、各種届け出。問い合わせ量が最大で、効果が一番見えやすい。僕が最初に雇った1人目です)。
  • 経理の「手続きボット」(経費精算、請求処理、締め日。月末月初の電話が激減します)。
  • 人事の「制度ボット」(評価、研修、異動関連の手続き案内)。
  • 情シスの「FAQボット」(パスワード再設定、ソフトの申請、機器トラブルの一次対応)。

この4人が揃うと、社内の定型質問はほぼカバーできます。とはいえ、最初から4人雇う必要はありません。まずは自分のチームの「業務マニュアルボット」(手順書を入れた身内向けの窓口)から小さく始めるのも、立派な一歩です。

まずは1人。全社向けの立派なものでなくていい。昼休みに作った小さなボットを、隣の席の人に使ってもらう。僕の職場の「9割削減」も、最初はたった1人の総務ボットから始まりました。

鉄則:「1テーマ、1ノート」——僕の失敗談から

最後に、絶対に守ってほしい鉄則をひとつ。1つのボットに、複数のテーマを混ぜないでください。

僕は最初、欲張って失敗しました。「どうせなら」と、総務の規定も、経理の手続きも、業務マニュアルも、1つのノートに全部入れたんです。結果、回答の精度が濁りました。経費の質問に就業規則を引いてきたり、答えがぼんやりしたり。資料のテーマがバラバラだと、AIはどの資料を根拠にすべきか迷うんです。

正解は、テーマごとにノートを分けること。総務ボット、経理ボット、情シスボット——専門窓口を並べるイメージです。人間の会社でも、総務と経理の窓口は分かれていますよね。あれと同じです。分けたほうが精度が上がり、資料の管理も楽になり、共有範囲も細かく制御できます。

第3章:作り方4ステップ——今日の昼休みに、動きます

お待たせしました、実作業です。ステップは4つ、合計15分。1つずつ、迷わないように案内します。

STEP1:ノートブックを作る(1分)

Gemini Notebookを開いて(ブラウザで「Gemini Notebook」(旧名の「NotebookLM」でも見つかります)と検索→Googleアカウントでログイン)、「新規作成」でノートブックを作ります。名前は「総務問い合わせボット」「経理手続き窓口」のように、何の窓口か一目で分かる名前に。共有したとき、この名前が社員の目に触れる看板になります。

小さなコツですが、名前に「まずここに聞いてね」感を出すのもおすすめです。「経理のことは、まずこちら」「総務なんでも窓口」——堅い名前より、話しかけやすい名前のほうが、利用率は確実に上がります。窓口の看板が怖い役所に、人は寄りつきませんからね。

STEP2:資料(ボットの知識)を集めて入れる(5分)

次に、ボットの頭に入れる資料を集めます。「ちゃんとした資料なんて無いよ」という会社も大丈夫。社内に眠っている「ボットの餌」発掘リストを置いておきます。

  • 社内規定、就業規則、各種申請のルール文書
  • 業務マニュアル、手順書(古いものでも、まず入れて後で直せばOK)
  • 過去に総務・経理が送った「よくある質問への回答メール」(これが実は超優良な餌です。実際の質問に実際に答えた文章だから)
  • 申請書の記入例、社内向けの案内文書
  • 議事録に書かれた、制度やルールの決定事項

集めた資料を、ノートの「ソースを追加」からアップします。PDFでもWordでも入りますが、規定やマニュアルがGoogleドキュメント/スプレッドシートで管理できるなら、Googleドライブから追加するのが断然おすすめです。

第1章⑤で話したとおり、ドライブ上のファイルは更新が自動でGemini Notebookに同期されるので、「規定を改訂したのにボットが古いことを言う」という事故が構造的に起きなくなります。紙やPDFしかない規定は、この機会にドキュメント化してしまうと、ボットの寿命が一気に延びます。

STEP3:カスタム指示で、ボットの「性格」を設定する(3分)

ここが、ボットの品質を決める工程です。ノートブックのチャット設定にある「カスタム指示(カスタマイズされた指示)」という欄に、ボットの人格と回答ルールを書き込みます。ここに書いた指示は、誰がいつ質問しても、ずっと守られ続けます。

何を書けばいいかは、次の第4章でプロンプトを4本まるごと配布するので、コピペしてください。まずは1本目の「標準コンシェルジュ型」を貼れば間違いありません。

STEP4:共有する(5分)

最後に、ノートブック右上の共有ボタンから、使ってほしい人に共有します。権限は必ず「閲覧のみ」で(編集権限を渡すと、ソースを消せてしまいます)。Google Workspace(会社のGoogleアカウント)での社内展開のやり方は、第5章で詳しく話します。

以上、開通です。試しに自分で「有給って何日前までに申請でしたっけ」と聞いてみてください。規定を引用しながら答えが返ってきた瞬間、たぶんニヤッとします。その画面を、あの消耗している担当者に見せに行ってください。導入提案は、スライドより、動くデモが百倍強いです。

第4章:チャットボットの性格を決める、カスタム指示プロンプト4本

同じ資料を入れても、カスタム指示しだいでチャットボットはまったく別人になります。そして、ここで意外と大事なのが「聞きやすさ」です。正確でも、無機質で冷たいボットには、人は聞きに行きません。窓口の利用率は、性格で決まる——4つのタイプを用意したので、あなたの職場に合うものを選んでコピペしてください。

①標準コンシェルジュ型——迷ったらこれ

丁寧・正確・バランス型。最初の1台に最適です。

あなたは、当社の社内問い合わせ窓口を担当する、親切で正確な コンシェルジュです。ソース(社内規定・マニュアル・手続き文書)だけを 根拠に、社員からの質問に答えてください。

【回答ルール】 ・回答は「結論→手順→根拠」の順。結論を最初の1文で言い切る ・手続きは番号付きの手順にし、担当部署・必要書類・期限があれば  必ず添える ・根拠となる規定・マニュアルの該当箇所を引用して示す ・ソースに記載がない質問には、推測で答えず「この件はソースに  記載がないため、◯◯部へお問い合わせください」と正直に案内する ・質問が曖昧なときは、確認の質問を1つだけ返す

【口調】 ・丁寧で、あたたかく。質問者をどんなときも否定しない ・専門用語・社内略語は、新入社員にも分かる言葉に言い換える

【禁止事項】 ・ソースにない情報や、一般論での回答 ・「たぶん」「おそらく」などの曖昧な表現

②優しい先輩型——新人の多い職場・質問のハードルを下げたい職場に

「こんなこと聞いていいのかな」を消すことに全振りしたタイプです。

あなたは、社内の質問になんでも答えてくれる「優しい先輩」です。 ソースの資料だけを根拠に、後輩からの質問に答えてください。

【人格・口調】 ・どんな初歩的な質問も、絶対に否定しない。「いい質問ですね」  「これはよく聞かれる質問なので、安心してください」と、  質問したこと自体をまず肯定する ・フレンドリーだが、なれなれしすぎない。頼れる先輩の距離感 ・専門用語は、必ず身近な例えに置き換える

【回答ルール】 ・安心させる一言→結論→手順→「困ったら、また聞いてくださいね」  の順で答える ・一度に伝える要点は3つまで。長い説明はしない ・ソースにないことは「これは私も即答できないので、◯◯部に  確認するのが確実です」と正直に案内する

【この窓口の目的】 ・正確さと同じくらい、「聞きやすさ」を大切にする。  質問のハードルを下げることが、あなたの一番の仕事です

③結論最速型——忙しい現場・ベテランの多い職場に

前置きゼロ。工場・店舗・営業所など、1秒を争う現場に向きます。

あなたは、結論だけを最速で返す社内ヘルプデスクです。 ソースの資料だけを根拠に回答してください。

【回答ルール】 ・1行目に結論。あいさつ・前置き・感想は禁止 ・手順が必要な場合のみ、番号付きで最短の手順を続ける ・根拠の規定名と該当箇所を、最後に1行で示す ・ソースにない質問には「記載なし。◯◯部へ確認」とだけ案内する ・回答の最後に「詳細が必要なら『詳しく』と入力してください」と添える ・「詳しく」と入力されたときだけ、丁寧な解説に切り替える

④トラブル初動型——ミス・事故・クレームの一次対応に

焦っている人を、正しい初動に導く緊急窓口です。対応マニュアルや過去のトラブル対応記録をソースにしたノートで使います。

あなたは、社内トラブル発生時の「初動案内係」です。 ソース(対応マニュアル・過去の対応記録)だけを根拠に、 焦っている質問者を、落ち着いて正しい初動に導いてください。

【回答ルール】 ・最初に「落ち着いて対応すれば大丈夫です」と一言添える ・次の順で答える:  1. 絶対にやってはいけないこと(最優先で伝える)  2. いますぐやるべき初動(番号付きで3つまで)  3. 連絡すべき担当部署と、伝えるべき情報  4. 根拠(マニュアルの該当箇所) ・ソースにないケースは、推測で指示せず「マニュアル外のケースです。  直ちに◯◯部へ連絡してください」と案内する ・質問者を責める表現を、一切使わない

【この窓口の目的】 ・トラブルの被害を最小にすること。そして、報告をためらわせない  こと。怒られない窓口だからこそ、悪い報せが早く上がってきます

選び方の目安を一言で言うと、「この窓口に一番来てほしい人は、誰か」から逆算することです。新人に来てほしいなら②、現場の即答需要なら③、ヒヤリハットを早く拾いたいなら④。1つの会社に、性格の違うボットが複数いて構いません。むしろそれが、良い窓口体制です。

第5章:Google Workspace版の共有設定——「社内全員の窓口」にする方法

ボットは、共有されて初めて窓口になります。この章では、会社のGoogleアカウント(Google Workspace)で使う場合の共有設定を整理します。個人アカウントとの違いも含めて、導入前に押さえてください。

共有の基本:権限は「チャットのみ(閲覧)」で配る

ノートブック右上の「共有」から、共有相手と権限を設定します。権限は大きく2種類——編集できる権限と、チャット(質問)だけできる閲覧権限です。チャットボットとして配るなら、答えは一択。全員「閲覧のみ」です。編集権限を配ると、誰かが誤ってソースを消したり、カスタム指示を書き換えたりできてしまいます。編集権限を持つのは、ボットの管理人(あなた+バックアップ1名)だけにしてください。

全社展開の本命は、「Googleグループ」への共有

共有先に指定できるのは、メールアドレス、またはGoogleグループのアドレスです。「リンクを知っている全員に公開」のような緩い配り方はできません(これは不便に見えて、社内情報を扱うボットとしては、むしろ安心できる仕様です)。

とはいえ、全社員を1人ずつメールアドレスで招待するのは現実的ではありません。そこで本命になるのが、Googleグループを使った一括共有です。手順はこうです。

  • ①Googleグループで「全社員」や「◯◯部」のグループ(メーリングリスト)を作る(すでに社内にあれば、それを使えばOK)
  • ②ノートブックの共有先に、そのグループのアドレスを「閲覧のみ」で追加する

——これだけで、グループのメンバー全員がボットを使えるようになります。

このやり方の一番の利点は、メンバー管理をグループ側に任せられることです。新入社員が入ったら、グループに追加するだけで、共有済みの全ボットに自動でアクセスできる。退職者はグループから外すだけ。

ボットが4人に増えても、共有管理の手間は増えません。部署限定のボットなら部署のグループに、全社ボットなら全社グループに——共有範囲の設計も、グループの使い分けで綺麗に整理できます。

なお、共有まわりの画面や可否は、お使いのプランと管理者の設定によって変わることがあります(会社でWorkspaceを使っているのにGemini Notebook自体が開けない場合は、管理者側で利用が有効化されていない可能性が高いので、情シス部門へ確認を)。導入前に、自分の環境で一度テスト共有してみてください。

共有前の最終チェック——「ソースの中身ごと」見えます

共有ボタンを押す前に、1つだけ立ち止まってください。ノートブックの共有は、チャット画面だけでなく、中に入れたソース(資料の原文)ごと共有されるということです。

つまり、「全社員に配ってよい資料だけで構成されているか」の確認が必須です。役員報酬が載った規定、特定個人の情報が含まれる文書、部外秘の資料——うっかり混ざっていないか。共有範囲を広げる前に、ソース一覧を上から眺めて、「この資料、全員に見られて大丈夫?」と自問する。この30秒が、あなたと会社を守ります。迷う資料があるなら、外すか、共有範囲の狭い別ノートに分けてください。

第6章:ボットの育て方と、失敗しないための注意

開通、おめでとうございます。最後の章は、ボットを「使われ続ける窓口」に育てる運用の話です。作って終わりのボットと、育てられたボットの差は、3か月後にはっきり出ます。

育て方①:「答えられなかった質問」が、最高の餌

運用が始まると、必ず起きることがあります。ボットが「ソースに記載がないため〜」と答えるケースです。これ、失敗ではありません。「この情報、文書化されていませんよ」という発見です。

答えられなかった質問が見つかったら、担当者に答えを聞いて、その内容をドキュメントに書き足す。それだけで、ボットは次から答えられるようになります。

おすすめは、共有時に「ボットが答えられなかった質問は、このフォーム(またはチャット)に投げてください」と一言添えておくこと。社員の質問が、そのままボットの成長リストになる運用です。

育て方②:資料はGoogleドキュメントに寄せて、「自動同期」に乗せる

第1章と第3章で話した設計を、運用面からもう一度強調します。ボットの知識源は、できる限りGoogleドキュメント/スプレッドシートに寄せて、Googleドライブからソース追加してください。理由はただ一つ、元ファイルの更新が、自動でボットに同期されるからです。

規定が改訂された。手続きが変わった。新しいQ&Aを足した。——あなたがやるのは、いつものドキュメントを直すことだけ。ボットは、次の質問から新しい内容で答えます。

従来のチャットボットが「メンテナンスの重さ」で死んでいったことを思い出してください。自動同期に乗せたボットは、メンテナンスという概念ごと捨てられる。これが、このボットが「使われ続ける」最大の理由になります。

失敗する3パターン——先回りで潰しておく

1年間、いろんな職場の導入を見てきて、失敗には型があると分かりました。3つだけ、先に潰しておきます。

失敗①:全部入りボット

第2章の僕の失敗談のとおり。テーマを混ぜると精度が濁ります。1テーマ1ノート。

失敗②:作って、放置

初日に感動されて、3か月後に「古いことを言うから使わなくなった」——放置が原因です。育て方①②を仕組みにして、月に1度だけ「答えられなかった質問は溜まっていないか」「古くなった資料はないか」を見る。5分で済みます。

失敗③:機密の未処理

便利さに気を取られて、共有してはいけない情報ごと配ってしまうケース。第5章の最終チェックを、必ず。

絶対のルール:セキュリティ

締めは、いつもの、でも一番大事な話です。

①会社の資料をAIツールに入れることについて、必ず上司・情報システム部門・社内ルールの確認を取る

Gemini Notebook自体は資料を学習に使いませんが、「社外サービスに業務データを置くこと」の判断は会社ごとに違います。勝手に始めず、確認してから。これはあなた自身を守る手続きで

②個人情報・機密性の高い情報は、匿名化してからストックする

全社共有が前提のボットでは、いつも以上に厳格に。この2つを守った上で、思い切り広めてください。

まとめ:あなたの会社の「あの問い合わせ」を、今日、ボットに変えよう

長いガイド、完走ありがとうございました。手順だけ、圧縮して返します。

  • ①「同じ質問×資料がある×担当者が消耗」の揃った場所を1つ選ぶ
  • ②ノートを作り、規定・マニュアル・過去の回答メールを入れる(Googleドキュメント経由で、自動同期に乗せる)
  • ③カスタム指示に第4章のプロンプトを貼って、性格を決める
  • ④「閲覧のみ」で共有する。⑤答えられなかった質問を餌に、育てる

——15分の作業と、月5分の運用。それだけで、あなたの職場から「あの問い合わせ」が消えていきます。

社内情報をストックするだけで、チャットボットができる。そして4人揃えば、問い合わせの9割が消える。何度でも言います、最高すぎませんか。 この最高を、あなたの職場で誰かが体験するかどうかは、あなたが今日の昼休みに15分動くかどうかに懸かっています。

総務の誰かが、経理の誰かが、今日も同じ質問に答え続けています。その人の残業を消せるのは、この記事を読み終えた、あなたです。

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